風通しのよい職場

職場の健康を予防する:メンタルヘルスケアのために

快適でいきいきと働ける職場には、無駄な緊張 がありません
企業で問題が発生すると「職場の風通しが悪 かった」と反省の言葉が語られますが、雑談ができない職場で問題が見過ごされるのは、ごく自然なことでしょう。
毎日顔を合わせているにもかかわらず、思いや 考えを伝えあわないままにしておくと、推測と誤解の悪循環に陥ってしまいます。上司と部下が「率直に」自分の考えを言うことができれば、互いの行き違いに 気づくことができます。そのためには、管理者が部下に関心を払うことがもとめられます。
入社試験のときに健康な笑顔をみせていた若 者は、今、元気に働き始めました。去年の新入社員のB君、転職してきたCさん、Dさんは元気で活躍していますか?
厚生労働省がH18年3月に定めた「労働者の 心の健康の保持増進のための指針」では、「近年、労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割 を超える状況にある。また、精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年、増加傾向にある」とされています。

企業の管理職の方へ

自分の部下が「うつ状態」と診断されて休職と なった時、企業の管理職の方は、何が悪かったのかと考えます。上司である自分の責任なのか、会社の評価システムが悪いのか、それとも本人の問題なのか。ど うすれば予防できるのか、また再発を防ぐには何に気をつければよいのか。
「こころの問題」で休職した場合を、具体的に考えてみましょう。

職場の「うつ」は、誰の責任か ~~企業の管理職からの疑問~~

Q 部下が「うつ状態」だとは、だれも気付かなかった
大野裕『「うつ」を治す』(PHP新書、2000年)第1章「うつ病のサイン」では、うつ病がなぜ気付かれにくいのか、次の理由をあげています

■「うつになりやすい人は非常に真面目で几帳面な人が多く」、自分を責めて助けを求めないので、周りにも苦しんでいることが伝わらない

■「うつ病は身体の症状がでやすく、そちらの方に関心が向いて、身体症状の裏にある精神的な悩みに気づかれにくいという傾向」がある

■「うつ病のためにその人の行動に変化がでてきて、それに目を奪われてしまい、その裏に隠れている憂うつな気持ちにまわりの人が気づかないこと」

身体の症状には、不眠や食欲不振、頭痛やイライラ、吐き気や不安感などがあり、内科の診察を受けても原因がわからない。医者探しをしているうちにエネルギーがなくなってきます。日常的なコミュニケーションがないと、その状態になる前に周囲が気付くことができません。つらい時に「つらいんだ」と言える職場が、こころの健康を支えます
Q なぜ再発するの?
上記と同じく、大野裕 『「う つ」を治す』)によると、
「最初にうつ病にかかるときにはきっかけがあることが多いのですが、その後はきっかけがなくてもうつ病が起こることが多くなる」ので、「問題を探し出して 解決していくことは大切ですが、あまり遠い過去までさかのぼっても意味はありません」

うつ病になりやすい性格を変えればいいのかということではなく、うつ病のなりやすさは、「性格と環境との相互作用」によるもので、「性格によって感じるストレスが違う」

「自分の性格を大切にしながら、現実に自分が直面している問題をていねいに解決していくことが、うつを治すうえでは大切になってきます」
Q 休職者について、チーム内のメン バーにどう説明したらいいのか?
「うつ状態」と診断されていた ら、疲労がたまってしまったので休職することを説明します。
チームのメンバー自身のストレスチェックやストレス対策を話し合ったりする機会にしてもよいで しょう。
仕事の負担が増えるメンバーには、個別に時間をとって話を聴いてみることも大切です。このようにしてチーム全体で気持ちを整理することができると、休職者が復帰してきた時に、温かく迎えることができるでしょう
Q 休職者が来月から復帰してくる場合、何をどう準備すればいいのか?
リハビリ出勤制度がある会社では、制度がない会社と比べれば、復帰する際のハードルが低いところから出社できます。
リハビリ出勤制度がない会社では、復職して毎日出勤することで、疲れがたまってきます。
始めは有給などを利用して、疲れたら休むようにコントロールしながら、通勤になれていきます。
この時期は、上司や同僚の理解とともに、 本人の体調管理が大切です。
復帰してから以前と同じ仕事に戻る場合は、期限のゆるい仕事から渡していくようにするとよいでしょう。
Q 復帰してきたら、どう声をかければいいのか?
朝、顔をみたら挨拶してください。
「完全に良くなったのか」「がんばれよ」などとは言わないで、復帰できたことを喜んでいることを伝えて、安心してもらいます。
朝の通勤だけでも疲労し ているうえに周囲に気を使って緊張しているので、ランチに誘ったり、息抜きできるように声をかけてください。病気のことを詳しく聞いたりせず、普通の会話をしましょう。
Q 休職者を出さないために、どうすればいいのか?
助けが欲しい時にコミュニケー ションがとれず、その結果として孤立感が強まって眠れなかったり胃腸の調子が悪くなるなど、身体症状からうつ状態になった場合、問題点はどこにあるか、考えてみましょう。

■最初の「助けが欲しい時」、上司や同僚は本人の気持ちに気付いていたか。
■日常のコミュニケーションはとれていたか。
■孤立感や体調が悪いことに周囲は気付いたか。
■本人から周囲に相談できなかったのはなぜか。

このように、本人も周囲も振り返って考えてみる問題点がたくさんあります。これらを総合して検討していくことが、職場から休職者を出さないための予防となるでしょう。
Q 部下に「声をかける」ことは、そんなに大事なことなのか?
転職してきたAさんの職場には、 時々「どう?」と声をかけてくれる上司がいます。
同じころに転職してきたBさんは、何か月も上司と話をしたことはありません。
メールが職場のコミュニケーションツールとなって、部下に直接「声をかける」ことが時間の無駄と考えてはいませんか。
部下に話しかけることは、部下に対して「自分が話をしたかったらできる機会がある」という安心感を与えることです。そういった日常のコミュニケーションがあればこそ、「助けが欲しい時」に声 を出せるし、周囲が「いつもと違う」と気付くことができます。

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